レビュー「それでも君は医者になるのか」中山祐次郎著

こんばんは。

今日は親しくさせていただいている外科医で作家の中山祐次郎先生の新著「それでも君は医者になるのか」をお贈りいただいたので、レビューを書きたいと思います。

 

本書は2017年からの4年間にWebメディアで連載された記事の内容を加筆・修正されたもので、医者の働き方や医者の生活、中山先生のご専門であるがん治療や一時院長として勤務されていた福島の病院についてなど、時事ネタも入れながら多彩なテーマを取り扱っています。

一貫して感じるのは医師として働くことに喜びを持ち続けている姿と、医師がハードワークを強いられている現状には苦言を呈しながらも自身は常に患者さんに全力で向き合おうとする患者さんへの「愛」です。

 

その中で私が今回取り上げたいのは、第1章「医者だって人の死に慣れない」の『患者さんとの距離感は難しい』という項です。

医師にとって担当する患者さんは愛する人(2人称)でもなければ、知らない人(3人称)ではなく、「2.5人称」という呼び方をされています。

これは全く同感で、患者さんとの距離感は私も常に「近すぎず遠すぎず」を意識しています。

そして、さらに言えば患者さんの性格や置かれている状況によっては距離を近づけたり、遠ざける場合もあります。

患者Aさんと話している時の私と、患者Bさんと話している時の私は声のトーンや話し方が少し違うのです。

これは以前は無意識的に行っていたのですが、少し年上の総合診療科の先生から「役を演じ分けるように」一人ひとりの患者さんに向き合うと良い、と聞いてから意識するようになりました。

 

私の持論としては、患者さんは愛する人(2人称)ではないですが、接する限り患者さんへの「思い」は必要だと感じます。

思いとはどんなものか、説明するのは難しいのですが、例えば患者さんの具合が悪くなったら自分の全てを投げ打ってとことん治療や症状の緩和、専門家への相談などにあたるといった大きなことから、高次脳機能障害のためにスムーズな理解が難しい患者さんには理解しやすいように、話すだけでなく文字や図を書いて説明するといった細かいことまで、患者さんへの思いが表れると思っています。

時に患者さんの言動を批判する医療者に出会いますが、そうした言動を見聞きすると「思いがないなあ」と思っています。

いつかこの辺り、もし機会があれば中山先生とお話ししてみたいです。

 

「大変だけど楽しい」医師になりたい方、医師に関わる方、医師として働いている方は必読の一冊です。

最後になりましたが、ご著書をお贈りいただいた中山先生ありがとうございました!

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