小腸カプセル内視鏡検査について

今日はクローン病患者である私が受けた小腸カプセル内視鏡検査について、患者目線で解説してみたいと思います。

 

・カプセル内視鏡とは?

・カプセル内視鏡検査の実際

・検査のメリットとデメリット

 

【カプセル内視鏡とは?】

私たち炎症性腸疾患を持つ患者は下部消化管内視鏡検査(いわゆる大腸カメラ)をたびたび受けています。

大腸カメラについての詳しい解説は外科医けいゆう先生の記事やYouTubeをご参照ください。

https://keiyouwhite.com/cs

https://youtu.be/f1PMpyv1arg

大腸カメラは詳しく腸の表面の状態を見られることがメリットで炎症性腸疾患の診断や治療経過の確認などに欠かせないものですが、大量の下剤を飲むこと、肛門からカメラを入れられ痛みがでやすいことがデメリットです。また小腸まで詳しく見る内視鏡検査では放射線も使い腸の状態を確認しながら行うため、より時間がかかり放射線被曝もあります。

一方、カプセル内視鏡検査は小腸の検査に限れば下剤は不要で、患者は大きめのカプセル(26×11mm)を飲むことで検査ができます。

ただ、実際には「カプセルを飲むだけ」ではなく、いくつかの制限などがあるのでその点にも触れていきたいと思います。

 

【カプセル内視鏡検査の実際】

(以下の記載は私が検査を受けている病院の取り決めのようです。他の病院では多少違う可能性がありますのでご了承ください)

・前々日

夜21時までに食事を終えます。(水分は摂取可能)

・前日

朝8時にガスモチン(消化促進剤)を飲みます。

9時にパテンシーカプセルを飲みます。

このパテンシーカプセルは偽物という意味で、本物のカプセル内視鏡と同じ大きさのものです。主原材料はラクトースで、レントゲンで確認できるよう硫酸バリウムも含まれています。

その後11時まで水分・食事とも禁止、13時まで食事は禁止となります。

パテンシーカプセルは腸の中をカプセル内視鏡が無事通過できるかを確認するためのものなので、肛門から出てくるかを確認する必要があります。

便座に敷くシートや手袋、紙スプーン、回収用の容器なども渡され排便の時にはそれらを使ってパテンシーカプセルを探します。

これが地味に辛い作業だったりします。

ちなみに私はシートを敷くことを忘れ、便器の中に手袋をつけた手を入れてパテンシーカプセルを探しました。辛い分、見つけた時の感動はなかなかのものです・・

夜は21時までに食事を終えます。(水分は摂取可能)

 

・当日

朝8時にガスモチン(消化促進剤)を飲みます。

8時半に病院到着。パテンシーカプセルを提出し、形が保たれているか確認されます。血圧・体調の確認を受け、消泡剤を飲みます。

医師がセンサアレイ(AEDのパットの少し小さめぐらいのサイズ)8枚を患者のお腹に貼り、センサアレイと接続したデータレコーダー(12×12cm程度)を肩にかけてくれます。

レコーダーなどの状態を確認し、9時にカプセル内視鏡(本物)をコップ1杯の水と共に飲みます。

カプセル内視鏡はすごい勢いでLEDが点滅しています。

その後、センサアレイをお腹に貼っていてレコーダーを肩にかけているという状態ではありますが、自由に行動して良いです(ただし激しい運動はしないよう言われました)。

(画像はセンサアレイを貼っているお腹です)

前日同様、その後11時まで水分・食事とも禁止、13時まで食事は禁止となります。(時間をきちんと守ることが大切!)

16時に病院に戻り、センサアレイとレコーダーを外します。

カプセル内視鏡もパテンシーカプセルと同様、肛門から出てくるかを確認するため回収キットを貰います。

 

・その後

患者側は特に制限なく過ごせます(2日間、午前中食事が摂れない状態のためエネルギーゼリーなどせっせと栄養を摂りました・・)

医師は膨大な枚数の画像をレコーダーから取り出し、確認していくそうです・・(目が疲れると、主治医談)。

次回の外来で結果を説明していただきます。

※ パテンシーカプセルが出てこない場合は?

当日朝、腹部レントゲンを撮影し腸の中に残っているかを確認します。

もしパテンシーカプセルが変形している場合などは、「腸管の開通性がない」と判断されてカプセル内視鏡検査ができないことがあるようです。

※パテンシーカプセルもカプセル内視鏡検査も大きいため、嚥下(飲み込み)が悪い方は難しいかもしれません。

※また、検査中は吐き気や強い腹痛などの腸の閉塞を疑うような症状がないか注意しましょう。

 

【検査のメリットとデメリット】

今回は2年ぶり2回目のカプセル内視鏡検査でした。

前回は検査中に電車に乗り会議に出席したり、今回は子どもの健診に連れて行ったりと「検査中にも活動できる」「苦痛が少ない」ことがこの検査のメリットだと思います。

一方で便の中からカプセルを探したり(精神的に苦痛)、食事・水分摂取時間が2日間は限定されることがデメリットだと思います。

特に夏の暑い時期は脱水に要注意ですね。

以上、炎症性腸疾患患者さんの参考になれば幸いです。

 

 

参考資料

・カプセル内視鏡と大腸・小腸疾患、クローン病に関するお役立ち情報サイト【飲むだけカプセル内視鏡】(メドトロニック社) https://nomu-capsule.jp/

(サイト内に検査を実施している病院リストもあります https://nomu-capsule.jp/facility/

・ギブンパテンシーカプセル内視鏡 添付文書 https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/610015/610015_22400BZX00106000_A_07_09.pdf

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