皆さんこんにちは。
今日は、リハビリテーションの観点から病気の「回復」という観点から説明していきたいと思います。
今回の話は一般論であり、個人差が非常に大きいことをはじめにお断りします。
個人差とは、年齢・性別に始まり病気になる前の体力・筋力、その方が持つ精神的な面(いわゆる気力)といった様々な要素があります。
リハビリテーション科では毎日様々な病気(医学用語では「疾患」と言います)の患者さんを診療しています。
その中で、今回はリハビリ科医の視点で病気を2つのグループに分類してみました。
①比較的機能が回復しやすい病気
☆発症した日がはっきりしているもの≒急性の病気
・脳血管障害・頭部外傷
・骨折
・一般的な手術後の廃用症候群(体が弱った状態)
②比較的機能が回復しづらい病気
☆発症した日がはっきりしないもの≒慢性の病気
・高齢者の嚥下障害
・多くの神経難病(パーキンソン病など)
特に嚥下障害(飲み込みにくさ)については①と②の違いについて、論文で紹介されています
(出典 藤谷順子:高齢者の嚥下障害.Jpn J Rehabil Med 2018;55:234-241)
ここで、②の病気の方については「回復が見込めないならリハビリしても意味がないの?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。
リハビリは落ちてしまった身体の機能を回復させることだけではなく、現状の身体でいかに生活をしやすくしていくかなどを考えて実践することも含まれます。
例えば嚥下障害に関して言えば、食べものの形を変えてみることです。
日本摂食・嚥下リハビリテーション医学会が提唱している嚥下調整食の図を示します。
出典 https://healthy-food-navi.jp/?post_type=use&p=3745
このようにピラミッドの下ほど嚥下の機能が良い人が食べられる食事の形、上ほど嚥下の機能が良くない人でも食べやすい食事の形(ゼリー状、ペースト状、きざみ食など)を示しています。
また、手の力が弱くて箸が使いづらい場合にはこのような箸を使うことで、弱った力をカバーすることができます。
出典 https://item.rakuten.co.jp/heartcare/000204/
ただし、②の場合は一つの部分の障害だけではなく、全身の筋力が低下していたり脳の機能も低下しているなど、身体の様々な部分が弱っていることがあるため、全身のことを考えて薬による治療やリハビリなどを取り入れていくことが大切です。
いかがでしたでしょうか?
病気に対するリハビリの考え方として、参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。