Antaa配信前! リハビリテーションが関わる場面について改めて考えてみる(大腿骨頸部骨折を例に)

皆さんこんにちは。
Twitterでも告知させていただきました通り、8月1日19時からAntaaで「医師・医学生34万人に伝えたいリハビリテーション」というテーマでオンライン配信をさせていただきます。

なんという大仰なタイトルをつけたものか・・と自分でも驚きますが、内容はごくごく平易なものにしておりますので、気軽にのぞいていただければ幸いです。

さて、今回は配信で使用するスライドから一部抜粋し、「リハビリテーション医療」について説明したいと思います。
まずは、医療現場でリハビリが関わる、おそらく頻度としてはトップクラスの一例を見てみましょう。

大腿骨頸部骨折という、高齢な方が転倒するとよく起こす骨折です。
古いデータですが、2007年には大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部を受傷した患者さんが合計約15万人いたとのことです。(大腿骨頸部/転子部骨折診療ガイドライン 改訂第2版より)
大腿骨頸部というのは図のbの場所で、もともと体の中でとても血流が悪い場所です。血流が悪いと骨折した後骨同士がつっつく(「癒合 ゆごう」と言います)までにとても時間がかかります。


Gurltという方が提唱した骨癒合にかかる期間は、大腿骨頸部は他の部位に比較し飛び抜けて長く、12週間とされています。
つまり、手術ができなかった時代は12週間は足の付け根の骨がつっつかないので歩けなかったのです。その場合、12週間後には筋力も体力もすっかり落ちてしまい、歩けるようになる人はほとんどいなかったのではなかったかと想像します。
もちろんその時代は今のような高齢化が進んでおらず骨折する人も少なかったのでしょうが・・

つまり言いたいことは、整形外科で大腿骨頸部骨折の手術をしていただくことはとても大切ということです。人間が立つ・歩く上で極めて重要な部分の骨折を短時間の手術で治療できるということは、医療において画期的なことだと感じます。

一般的な手術ではレントゲン写真にあるような、骨に金属が入ります。(正式には人工骨頭挿入術と呼ばれます)
この金属はとても丈夫なものなので、これにより手術後は足に体重をかけて良いと言われています。(手術の経過や骨の状態などによって、体重をかけられない場合もあります。)

ただし、一般的に大腿骨頸部骨折の手術直後は骨折だけでなく周りの炎症や出血、筋肉へのダメージなどが残るため、普通は手伝いなしには歩けません。
そのため、「筋力低下」に対して筋トレを行う必要があり、さらに「歩けない」という問題に対しては筋トレの後、あるいは並行して歩く練習をしなければいけません。
その際、いきなり何もつかまらずに歩くわけではなく、手すりや歩行器・杖といった体重をすべて足にかけなくても済む道具を使います。

さらに、退院するまでには、平地を歩くだけでなく坂道や階段も上がり降りすることが必要な方も多いでしょう。
その場合、階段昇降や坂道の練習も行います。
それでも階段を1階分上がり降りすることが難しい場合もあり、その際はそもそも生活スペースを1階に変更したり、エレベーターのない集合住宅だと引越しを検討したりします(言うは簡単、実行は難しいのですが・・)

こうした、術後の様々な問題に対してリハビリは関わっています。
筋トレや歩行訓練そのものは主に理学療法士が行っていますが、リハビリ科医は安全に訓練ができるようどこまで足や全身に負荷をかけて良いか(手術を担当した整形外科医と連携を取ることが多いです)、自宅の環境に復帰(退院)できるためにはどのくらい期間が必要か、それまでに何をどう進めていけば良いかを、療法士と一緒に考えています。また、骨折後の経過も注意深く見守り、必要があれば整形外科医に連絡します。

改めて最初に提示したスライドをご覧いただくと、理解しやすいかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

レントゲン画像・大腿骨のイラスト:Antaa Slide(藤井達也先生)から引用しました
https://slide.antaa.jp/article/view/5a18b6937f424898#5

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